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三角縁神獣鏡「卑弥呼の鏡」は中国製? (2004.5.15 産経新聞)
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邪馬台国の女王、卑弥呼の使いが中国の魏からもらった鏡ともされる三角縁神獣鏡の一部は、当時の中国鏡と材料の青銅の成分がほぼ同一とみられることが分かったと、泉屋博古館(京都市)が十五日、発表した。
ハイテクノロジーを使って微量元素の含有比の測定が可能となったことから判明した。三角縁神獣鏡は三世紀前半、卑弥呼が魏から贈られた「百枚の銅鏡」とされるが、中国での出土例がないため国産説を取る専門家もおり、議論が中国製、国産の二つに大きく分かれている。 今回の研究成果は、三角縁神獣鏡の中国からの渡来説を補強する有力な手がかりとなりそうだ。 同館の樋口隆康館長は、謎とされてきた弥生時代から古墳時代にかけての遺跡・古墳で出土した青銅鏡の生産地を突き止めるため、第一段階として成分構成に区分けを計画。 同館所蔵の中国鏡69面と国産鏡18面、三角縁神獣鏡8面の計95面を、試料を破壊せず微量の成分の解析ができる最先端技術を持つ大型放射光施設「SPring(スプリング)8」(兵庫県)の放射光を利用して分析した。 この結果、制作時期や地域によって、青銅鏡に含まれる微粒な不純物の成分の特性に違いがあることが判明。 この研究手法を駆使して、鏡に含まれる主成分のスズに不純物として含まれる銀とアンチモンの成分比を測定したところ、三角縁神獣鏡では、様式などから中国産と判断されてきた6面が、魏を含む「三国・西晋時代」の中国鏡グループの分布域に収まった。 一方で、国産とされてきた2面については、中国産の分布域から大きく逸脱する値が測定された。 絶対的なデータ数が少ないため今回の結果で断定するのは時期尚早といい、樋口館長は「スプリング8による調査は非常に有効。試料を増やし分析を続ければ、将来的に三角縁神獣鏡の原材料産地などが特定できるようになるのではないか」と話している。 《「畿内説」断定できない》
《三角縁神獣鏡》
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