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安本美典  

考古学や新聞の「権威主義」について

(季刊邪馬台国85号 巻頭言)



季刊邪馬台国85号
考古学や、それを報道する新聞などにおいては、どうも、「権威主義」の色彩が、強すぎはしまい か。

しばしば新聞は、すぐれた業績をあげた研究者や、あらゆる面から検討したうえで、これはすぐ れているとみられる考古学的業績を紹介しているのではない。

いわゆる世間的に「えらい」学者の見解を、批判も検討もなく安易に紹介するという傾向がみら れる。

文化庁の役人であったり、某有名大学の教授であったりすることを、「えらい」と判断しているよ うである。

このような傾向が、「旧石器捏造事件」をひきおこしたのであった。

そして、「旧石器捏造事件」のあとも、大した反省もなく、また同じようなことがくりかえされて いる。

だんだん、「邪馬台国"大和説捏造事件」に近づきつつある。

しかし、「旧石器捏造事件」をあきらかにするという、すばらしい業績をあげたのは、新聞社の 人々であった。

少数意見を黙殺するのではなく、手間と時間と費用とをかけてでも、実像のごとくうちたてられ ていた巨大な虚像を、検証してみようという姿勢をもつ人々が、新聞社のなかにもおられたのである。

邪馬台国問題についても、そのような人々があらわれることを期待したい。



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