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第216回
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1.古代の日食 |
■ 朝日新聞記事 2003年5月31日の朝日新聞夕刊の記事によると、国立天文台の谷川清隆助教授のグループが古代の日食を精度良く計算する新しい方法を考案し、これによって、従来疑問視されていた7世紀の日食についての日本書紀の記録が正しいことが証明されたという(右表)。 ■ 西暦247年、248年の皆既日食 谷川助教授の見解によると、卑弥呼が死んだ頃起きたとされる西暦247年、248年の皆既日食については、「あまり暗くならなかった可能性のほうが強い」ということであった。 ■ 安本先生の主張 安本先生は、西暦247年あるいは248年に皆既日食がおこり、これと卑弥呼の死が結びついて天の岩戸伝承になったと説く。 |
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安本先生が247年、248年に皆既日食があったとする根拠は、全く独立の次の2つのアプローチで、いずれも皆既日食が起きたと判定されたことによる。
安本先生は、国立天文台の谷川清隆助教授の説についていくつか疑問ありとして、ただいま二人の間でメールや手紙で静かに論戦が進行中。その論点を簡単に紹介する。 ■ 谷川助教授グループの研究 地球の自転は潮の満ち干の影響などさまざまな理由で少しずつ遅くなっているが、谷川助教授等の研究で、地球の自転の遅れを従来より精度良く求めることができたという。 詳細は難しいので省略。(^_^;) 右図は、谷川助教授が古代の日食観測データを処理して作成したグラフ(緑曲線は追加)。ここから皆既日食の発生を判断できるようだ。縦棒が数百年程度の短い周期で上下に変動しているが、これは地球の自転が単調に遅くなるのではなく、ときに早くなったり遅くなったりすることを示すという。 ■ 安本先生の疑問 谷川助教授が図で示したデータの上下変動は、下記によって偶然発生するみかけの周期変動と区別がつかないのではないか? 1.近似正規乱数によるみかけ上の周期変動 2.単純乱数によるみかけ上の周期変動 3.データの累積効果による長期波動 4.最小自乗法の適用誤差によるみかけの周期変動 論戦の行方は、いつかまた、講演会で。 |
2.鵜葺草葺不合(ウガヤフキアエズ)の尊の稜の伝承地 |
『日本書紀』によると鵜葺草葺不合の命は「日向の吾平(あひら)山上陵」に葬られたという。
■ 吾平山上陵の伝承地(右図) 日高重孝氏などによる吾平山上陵の伝承地は、
1の大隅の国肝属郡上名村鵜戸の窟(現在は、鹿児島県肝属郡吾平町鵜戸の窟)が最も有力な候補地である。その理由は
有力な候補地が非常にたくさんあるわけではない。やはり、明治天皇の「御裁下」にもとづく三つの地が、根拠も豊富であり、最も有力である。 神代三陵の定説的な比定地や比較的有力な比定地をみると、一部を除き、霧島山のほうに近いものが多い。このことからも高千穂の峰は霧島山である可能性が高い。
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