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安本美典  

痩せ蛙の弁

(季刊邪馬台国103号 巻頭言)



季刊邪馬台国102号
「ある数がある。その数は、1よりも大きく、100よりも小さい。よって、われわれが、かねてから予想していたとおり、その数は33であることが確定した。これは新聞・テレビに発表する価値がある。これは、四億円の国税を使った研究の成果である。」  

こんな主張をきけば、良識のある人は、そんな馬鹿なと思うであろう。1より大きく、100より小さい数は、なにも、33とはかぎらない。89でも、21でもよいわけである。

炭素14年代測定法では、大まかな範囲だけしかきまらない。それを、特定の狭い範囲に確定したかのように発表し、それをマスコミが大報道する。まったく証明になっていないのに、証明ができたと、発表し、報道する軽率さと異常さ。発表するほうも、報道するほうもどうかしている。

朝日新聞の渡辺延志(のぶゆき)氏も、歴博の研究グループも、あまり、大組織の権威の上にたって発言しないほうがよい。権威さえもっていれば、無理が、いつまでも通ると考えないほうがよい。

小誌の発言は微弱であろうが、「弱さ」も、また、武器になりうるのだ。

「強きをくじき、弱きを助ける」心情を持ちあわせている人は多い。また、論証になっているかいないかがわかる人も、世の中には多いのだ。

寸鉄は析れても、寸鉄の被害だけですむ。 しかし、大組織は、寸鉄によって傷つけば被害は大きいはずだ。

革命は、インターネットにのせた言葉からでも起きうる。

義心ある人、立つべし。発言すべし。

吹けば飛ぶような
言葉の寸鉄(たま)に
かけた命を笑わば笑え
空に聳(そび)ゆる積木の虚塔(とお)を
撃てば、崩れよ、炎え上れ

実質なく、マスコミによって立つ学説は、マスコミによって滅びる。旧石器握造事件を見よ。

「三軍師(すい)を奪うべし。匹夫(ひっぷ)も、志を奪うべからず。」(『論語』)

義のない三軍は瓦解しやすく、匹夫の志も、蜂火たりうる。 蜂火は、やがて、大火ともなりうる。

痩せ蛙、ここにあり。燎原(りょうげん)の火の夢を見る。無法を許すな。 一茶立つべし。義軍興るべし。革命来たるべし。蛙鳴(あめい)、風雲を呼ぶべし。

蟷螂(とうろう)の斧竜車をも砕くべし



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