ある時代の、ある社会においては、ほとんど疑う余地のない正しい言説と見えたものが、のち
の時代になってみると、まったくの誤りであったり、空疎な言説に見えたりするものがよくある。
第二次大戦中にもてはやされた皇国史観もそうであった。
また、マルクスなどのとなえた共産主義なども、そのようなところがある。
古代史の分野でも、最近の旧石器捏造事件などは、そうであった。教科書にまでのせられた遺
跡が、人工物であった。
そして、現在、考古学の分野で流行の「邪馬台国=大和説」なども、そのようなところがある。
「邪馬台国=大和説」を、くわしく分析してみると、「伸縮自在の、土器の編年をひきのばしてみ
る」という考え方以外にさしたる根拠を、もっていないようにみえる。
そして、根本史料の『魏志倭人伝』には、土器のことなど、なにも書いていないのである。
不確実な根拠にもとづく付和雷同説が、マスコミを通じて喧伝されている。
このような時代こそ、しっかりとデータにもとづいて検証してみる姿勢が必要である。
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