データを捏造してテレビの健康番組で流す。何十万年もまえの「旧石器」が捏造され、ニセの「旧石器時代」が教科書にのる。ニセメールにだまされて国会議員が席をうしなう。
コンピュータの分野では、より高度のウィルスを誕生させることに情熱を燃やす人たちは、ワンサカいる。
コンピュータ・ウィルスの作成と、それに対抗するワクチンの作成のためについやされる労力と費用とは、いまや莫大なものになっている。
情報化社会とは、ニセの情報も、また氾濫する社会であるらしい。
邪馬台国に関するマスコミ報道が、誤っていたり、ちゃんとした根拠をもっていなかったりすることは、本誌でも、しばしばとりあげている。
テレビの高視聴率番組に、島田紳助氏司会の「開運!なんでも鑑定団」がある。
この番組では、個人の家のお宝の真・贋がたずねられる。
そして、古代史の分野では、ときとして、国のお宝(国宝)や重文(重要文化財)の真贋さえ問われる。歴史の分野では、真・贋の問われる問題は多い。
国宝や重文の判定も、しょせんは、人間のしていることであるから、誤る可能性は、十分ある。
重要文化財とされた「永仁の壺」が、著名な陶芸家・加藤唐九郎氏(1897〜1985)の製作した捏造品であることが判明したのは、昭和35年(1960)のことであった。
古代史は、もともと、権威主義・思いこみ、空想、意図的なインチキ、話が面白ければよい主義など、壮大なニセモノが生育しやすい豊かな土壌をもっているといえる。
津田左右吉説のような、定説とされる学説さえ、見方によっては、妄想である。
私たちは、十分に、注意ぶかくなければならない。
私たちは、ニセモノにだまされない鑑識眼を養なわなければならない。
そのためには、できるだけ、科学的な客観主義、検証主義をつらぬくように心がけねばならない。
そのような意図をもって、本号では、「真?偽?古代史なんでも鑑定団」の特集を組んだ。
ここでは、鑑定団の鑑識力じたいも、また、検討される必要がある。
|