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夜明け前の星々

(季刊邪馬台国113号 巻頭言)                      安本美典



季刊邪馬台国113号
 
原始、邪馬台国の女王・卑弥呼が、太陽のように出現するまえ、古代の空は漆黒の闇ではなかった。
志賀島の、「漢委奴国王」の金印をはじめ、夜明けまえの明星のように、なお暗い空に輝く星々があった。
この号では、金印問題をはじめ、邪馬台国前史をいろどる数々の星の姿を追う。
「日本民族の起源」問題をとりあつかうばあい、あるいは、旧石器時代の問題からはじめて、縄文時代・弥生時代へと進むのが、順当であるかもしれない。
しかし、この「日本民族の起源」の一連の特集では、前号の112号において、倭人の弓、家、鵜飼などの、おもに弥生時代の文化・遺物に関する諸問題をとりあげた。
そして、この113号では、「漢委奴国王」の金印問題や、わが国の古代史のうえに長く大きな影をおとす中国の古代の大国、燕の国の問題など、邪馬台国前夜の諸問題をとりあげた。
そして、次号の114号では、「日本人の起源」についての第3弾の特集として、旧石器時代から、縄文時代・弥生時代の始源の諸問題をとりあげる。
これは、資料や、情報などの、より確実なところで、まず足場をかためて、そのうえで、古代の空に、さらなる探索の弾道弾をはなとうとするこころみである。
三段式ではなつ探索のロケットを、セットで、通読していただければ、幸いである。

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