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第227回 会場移転記念講演 |
1.邪馬台国論争の諸説と現状 |
長年にわたって邪馬台国がどこにあったか議論されているが、魏志倭人伝の記述が情報不足であるため、なかなか結論が出ない。 今回は、現在の邪馬台国論争の状況を眺めながら、なぜ問題が解けないか考えてみる。 ■ 現在の邪馬台国説の主流 邪馬台国九州説と畿内説は他の説に比べると常識的な主張であり、現在の邪馬台国論争は主にこの2つの説の間の議論になっている。 九州説は東京帝国大学東洋史教授の白鳥庫吉が主張し、畿内説は京都大学教授の内藤湖南が主張したことから、九州説を主張する東大と近畿説を主張する京大の構図が出来てしまった。 ■ 極端な邪馬台国説 極端な地域を主張する説がある。
このように、邪馬台国については、穏健なものから過激なものまでさまざまな説があって、それぞれが自説の正当性を主張しあい、決着がつかない。 |
2.邪馬台国論争へのアプローチ |
なぜ、長年にわたる議論に決着が付かないのか、また、このような極端でとっぴな説がなぜまかり通るのか。これは、邪馬台国問題解決へのアプローチに問題があり、それぞれの説の正否を判断するときの、方法論や判断の基準が曖昧なことが大きな原因である。
まず、物事のとらえ方についていくつかの立場を紹介する。
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3.仮説的実在論の立場から見た最近の邪馬台国事情 |
最近の邪馬台国にかかわる状況を検証すると、事実によって仮説を矛盾なく説明するという観点から見て多くの問題がある。畿内説論者は、矛盾に関してはあまりに無頓着である。具体例を示す。
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4.なぜ邪馬台国問題は解決しないのか |
自説に都合悪い事実は一切無視し、都合の良い事実のみ強調・宣伝して事終れりという風潮や、あるいは、矛盾を含んだ主張や極端な説が堂々とまかりとおる現象は、現在の古代史や考古学の専門家の世界が、上に述べた現象論的な考え方や権威主義的な押しつけが通用する非学問的な世界になっていることを示している。
このような世界に安住する学界の権威や専門家が、「科学的証明」や「事実にもとづく検証」を行わず、客観的に仮説の正しさを確認する手順を踏んでいないことが、邪馬台国問題の解決を阻む大きな要因である。 |
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